
私たちの周りには、昨日言っていたことと今日では全く違うことを話す人が時折います。
このような経験は、多くの人が一度はしたことがあるのではないでしょうか。
言うことがコロコロ変わる人の心理に振り回されて、仕事やプライベートでストレスを感じたり、どう付き合っていけば良いのか分からなくなったりすることもあるでしょう。
相手に悪気はないのかもしれませんが、あまりに頻繁だと嘘つきなのではないかと信頼関係に疑問を抱いてしまうこともあります。
特に、それが職場の上司や大切な恋愛パートナーであった場合、その悩みはより深刻になるかもしれません。
実は、言うことがコロコロ変わる人の心理には、単なる気分屋という言葉だけでは片付けられない、様々な理由が隠されています。
その背景には、自分に自信がないことへの不安や、自分を守りたいという自己保身の気持ちが関係していることが多いのです。
また、中には病気が関連している可能性もゼロではありません。
この記事では、言うことがコロコロ変わる人の心理を深く掘り下げ、その原因や特徴を詳しく解説していきます。
そして、その心理を理解した上で、私たちがどのように対処し、上手な付き合い方をしていけば良いのか、具体的な方法を提案します。
この記事を読み終える頃には、あなたが抱えているストレスが少しでも軽くなり、より良い人間関係を築くためのヒントが見つかるはずです。
- 言うことがコロコロ変わる人の心理的な背景
- 発言が変わる原因となる自己保身や自信のなさ
- 悪気がないケースと気分屋な性格の見分け方
- 職場や上司との関係でストレスを溜めない対処法
- 恋愛で相手に振り回されないための心構え
- 意見が変わることを前提としたコミュニケーション術
- 言うことが変わる人との上手な付き合い方のコツ
目次
言うことがコロコロ変わる人の心理に隠された5つの理由
- 周囲の評価が怖いという自己保身
- 自分に自信がないことの裏返し
- 嘘つきではなく悪気はないケースも
- その場の空気に流されやすい気分屋な性格
- 関連する病気の可能性も考える
周囲の評価が怖いという自己保身
言うことがコロコロ変わる人の心理の根底には、周囲からの評価を極端に気にする気持ちが隠れていることが少なくありません。
これは、自分を守りたいという自己保身の表れと言えるでしょう。
彼らは、自分の発言が他人からどのように受け取られるか、否定されたり批判されたりしないかを常に気にしています。
そのため、相手の反応やその場の雰囲気に合わせて、無意識に自分の意見を修正してしまうのです。
例えば、会議の場で一度はA案に賛成したものの、有力者や多くの人がB案を支持し始めると、途端に「よく考えてみたらB案の方が良いかもしれない」と意見を変える人がいます。
これは、多数派に同調することで、自分の立場を守り、波風を立てるのを避けたいという心理が働いているからです。
彼らにとって最も避けたいのは、自分の意見が原因で孤立したり、能力が低いと評価されたりすることなのです。
この自己保身の傾向は、過去に自分の意見を否定されて傷ついた経験や、常に他人からの承認を求めてきた環境で育ったことなどが影響している場合もあります。
自分の発言に責任を持つことよりも、その場で自分が安全でいられることを優先してしまうのが、このタイプの特徴です。
したがって、彼らの発言の変更は、相手を騙そうという意図からではなく、自分を防衛するための無意識の行動であることが多いと考えられます。
彼らの言動に一貫性がないように見えるのは、その時々で最も安全だと感じる立場に身を置こうとする結果なのです。
このような心理を理解することで、ただ「いい加減な人だ」と切り捨てるのではなく、その言動の裏にある不安や恐怖に思いを馳せることができるかもしれません。
自己保身タイプの特徴と見分け方
自己保身から言うことが変わりやすい人には、いくつかの共通した特徴が見られます。
これらの特徴を知ることで、相手の心理をより深く理解する手助けになります。
- 権威のある人や多数派の意見に流されやすい
- 自分の意見を主張する際に「でも」「しかし」といった反論を嫌う
- 「みんなが言っているから」という表現をよく使う
- 決断を迫られる場面を避け、他人に判断を委ねようとする
- 自分の失敗や非をなかなか認めようとしない
もしあなたの周りの人がこれらの特徴に当てはまるなら、その人は自分の立場を守りたいという気持ちが人一倍強いのかもしれません。
彼らと接する際には、意見を否定するのではなく、まずは一度受け止める姿勢を見せることで、相手の警戒心を解き、より率直なコミュニケーションが取れるようになる可能性があります。
「あなたの意見も分かります」と前置きした上で、「こういう視点もありますが、どう思いますか?」と提案型の質問をすることで、相手は守りに入ることなく、対話しやすくなるでしょう。
自己保身が強い人への対応は、彼らの不安を煽らない配慮が重要です。
自分に自信がないことの裏返し
言うことがコロコロ変わる人の心理を理解する上で、核となる要素の一つが「自信のなさ」です。
自分の考えや判断に対する確信が持てないため、他人の意見や少しの情報で簡単に気持ちが揺らいでしまうのです。
これは、自分の発言に責任を持つことへの恐怖とも言い換えられるでしょう。
もし自分の意見が間違っていたらどうしよう、そのせいで誰かに迷惑をかけたらどうしよう、といった不安が常に心の中に渦巻いています。
自信がない人は、自分自身の中に判断の軸をしっかりと持っていません。
そのため、何かを決める際には、常に外部の基準、つまり他人の意見や評価に頼ろうとします。
例えば、友人から「あの映画は面白くなかったよ」と聞けば、見る前は楽しみにしていたにもかかわらず、「じゃあ、やめようかな」とすぐに気持ちが変わってしまうことがあります。
また、一度「こうします」と決めたことでも、後から少しでも不安な要素が見つかると、「やっぱり、やめた方がいいかもしれない」とすぐに前言を撤回してしまうのです。
この行動の裏には、「自分で決めて失敗する」という最悪の事態を避けたいという強い思いがあります。
他人の意見に従って失敗した場合は「あの人が言ったから」と言い訳ができますが、自分で決断して失敗すると、その責任を全て自分で負わなければなりません。
その重圧に耐える自信がないため、彼らは無意識のうちに責任を回避できるような選択をしてしまうのです。
彼らの発言が変わるのは、決して無責任だから、あるいはいい加減だからというわけではなく、むしろ責任の重さを感じすぎるあまり、決断から逃げている結果と捉えることもできます。
自信のなさは、自己肯定感の低さと密接に関連しています。
ありのままの自分を受け入れることができず、常に「自分は劣っているのではないか」という感覚に苛まれているため、自分の内側から湧き出る考えや感情を信じることができないのです。
このような心理状態にある人に対して、発言の一貫性を強く求めても、それは彼らをさらに追い詰めるだけになってしまう可能性があります。
自信がない人への接し方のヒント
自信がないことが原因で言うことが変わりやすい人とのコミュニケーションでは、相手を安心させ、少しでも自信を持たせるような関わり方が効果的です。
- 相手の意見をまずは肯定的に受け止める(例:「なるほど、そういう考えもあるんですね」)
- 小さなことでも相手が決めたことを褒めて承認する(例:「〇〇さんが決めてくれて助かりました」)
- 判断を丸投げするのではなく、選択肢を提示して選んでもらう形にする(例:「AとBのどちらが良いと思いますか?」)
- 意見が変わったとしても、責めるのではなく理由を尋ねる(例:「何か懸念点が見つかりましたか?」)
これらのアプローチは、相手に「自分の意見を言っても大丈夫だ」という安心感を与えます。
すぐに変化が見られるわけではありませんが、根気強くこのような関わりを続けることで、相手は少しずつ自分の考えに自信を持てるようになり、結果として発言の一貫性も増していくことが期待できるでしょう。
重要なのは、相手を変えようとコントロールするのではなく、相手が安心して自分を表現できる環境を整える手助けをすることです。
嘘つきではなく悪気はないケースも
言うことがコロコロ変わるという行動を目の当たりにすると、私たちはつい「嘘つきだ」「信用できない」と相手にレッテルを貼ってしまいがちです。
しかし、実際には相手を騙そう、陥れようといった悪意が全くないケースも非常に多いということを理解しておく必要があります。
むしろ、彼ら自身は自分の発言が変わっていることにすら気づいていない、あるいは重要視していない可能性もあるのです。
このタイプの人は、深い考えがあって発言しているのではなく、その場の思いつきや気分で話していることが多いのが特徴です。
例えば、「今度、みんなでキャンプに行こうよ」と盛り上がった場で提案したとしても、それはその場の雰囲気を楽しむための一つのアイデアであり、具体的な計画や約束とまでは考えていないかもしれません。
後日、その話を振られても「そんなこと言ったっけ?」と覚えていないことすらあります。
これは、相手を欺くための嘘ではなく、単に発言に対する重みが私たちとは異なっているだけなのです。
また、好奇心旺盛で新しい情報に敏感な人も、言うことが変わりやすい傾向にあります。
昨日まではAという方法が最善だと考えていても、今日新しいBという方法を知れば、すぐに「Bの方が効率的だ」と考えを変えます。
彼らにとっては、より良いものを柔軟に取り入れていくことが自然な思考プロセスであり、過去の発言に固執することの方が不合理だと感じているのです。
この場合、発言の変化は「成長」や「適応」の証と捉えることもできるでしょう。
さらに、単純に忘れっぽいという特性も考えられます。
特に、忙しい人や多くの情報を処理している人は、過去の細かい発言を一つひとつ記憶しておくことが困難です。
彼らにとって重要度が低いと判断された事柄は、すぐに記憶から抜け落ちてしまいます。そのため、以前と違うことを言ったとしても、本人に悪気は全くなく、ただ忘れてしまっているだけなのです。
このように、「言うことが変わる」という現象の裏には、様々な悪意のない理由が隠されています。
もちろん、約束を反故にされたり、重要な決定が覆されたりすれば、迷惑を被ることは事実です。
しかし、相手の言動をすぐに「嘘」と結びつけて非難する前に、「何か悪気のない理由があるのかもしれない」という視点を持つことが、無用な対立を避け、冷静な対処法を見つける第一歩となります。
相手の性格や状況をよく観察し、その発言がどのタイプに当てはまるのかを見極めることが重要です。
その場の空気に流されやすい気分屋な性格
言うことがコロコロ変わる人の中には、その場の雰囲気や自分の感情の起伏に大きく影響される「気分屋」なタイプの人がいます。
彼らの発言は、論理的な思考や一貫した信念に基づいているというよりも、その時々の「気分」や「ノリ」で決まることが多いのが特徴です。
楽しい雰囲気の場では楽観的なことを言い、少しでも不安な気持ちになると、途端に悲観的な意見に変わる、といった具合です。
このタイプの人は、共感性が高く、周囲の人と感情を共有することに長けている場合があります。
場の空気を読んで、その場が盛り上がるような発言をしたり、相手が喜ぶようなことを言ったりするのが得意です。
例えば、友人が「新しい事業を始めたい」と熱く語れば、「それは素晴らしいアイデアだ、絶対に成功するよ」と心から応援するでしょう。
しかし、その場を離れて冷静になったり、別の友人からリスクを指摘されたりすると、「やっぱり、そんなに甘くないかもしれない」と簡単に意見を変えてしまいます。
これは、相手を騙そうとしているのではなく、その時々で感じたことに素直に反応しているだけなのです。
彼らの心は、まるで天気のように移ろいやすく、昨日まで晴れやかな気持ちで「賛成」と言っていたことでも、今日、心に曇り空が広がれば、何の抵抗もなく「反対」と言えてしまいます。
彼らにとって、発言の一貫性を保つことよりも、その瞬間の自分の感情に正直であることの方が重要なのです。
このような気分屋な性格の人は、創造的でアイデアが豊富な反面、計画性や持続性に欠ける傾向があります。
新しいことを始めるのは得意でも、地道に努力を続けることが苦手なため、目標が頻繁に変わることも少なくありません。
彼らの「やる」という言葉は、「(気分が乗れば)やる」という意味合いで解釈する必要があるかもしれません。
彼らの言動に振り回されないためには、その発言を決定事項として捉えるのではなく、あくまで「その時点での気分」として受け止める冷静さが必要です。
彼らの感情の波に一緒に乗ってしまうと、自分まで不安定な気持ちになってしまいます。
「また気分が変わるかもしれないな」と心の中で一歩引いて見ておくくらいの距離感が、ストレスを溜めずに付き合うためのコツと言えるでしょう。
気分屋な人との約束事は、具体的な日時や内容を文書で確認するなど、感情以外の要素で固めておく工夫が有効です。
関連する病気の可能性も考える
言うことがコロコロ変わるという状態は、個人の性格や心理状態に起因することがほとんどですが、ごく稀に、その背景に医学的な注意が必要な病気が隠れている可能性も考慮に入れる必要があります。
ただし、これは専門家による慎重な判断が必要な領域であり、私たちが安易に診断を下すべきではありません。
ここで挙げるのは、あくまで可能性として知っておくべき情報であり、心配な場合は本人や周りの人が専門医に相談することを促すための知識です。
代表的なものとして、いくつかの精神疾患の特性が、発言の一貫性のなさと関連することがあります。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)
ADHDの特性の一つに「衝動性」があります。
深く考えずに思いついたことをすぐ口にしてしまうため、後から状況を考えると「やっぱり違う」となり、発言が変わることがあります。
また、「不注意」の特性から、以前に自分が何を言ったかを忘れてしまい、結果として違うことを言ってしまうケースも考えられます。
彼らに悪気はなく、脳の特性によるものなのです。
双極性障害(躁うつ病)
双極性障害は、気分が異常に高揚する「躁状態」と、意欲が著しく低下する「うつ状態」を繰り返す病気です。
躁状態の時は、自信に満ち溢れ、次々と壮大な計画を口にしますが、うつ状態に入ると、それらが全く実行不可能に感じられ、発言内容を全て否定するような言動が見られます。
この気分の波が、発言の大きな変化として現れるのです。
境界性パーソナリティ障害
この障害を持つ人は、感情が非常に不安定で、対人関係において相手を「理想化」したり、逆に「こき下ろし」たりという極端な評価の間を揺れ動くことがあります。
昨日まで「最高の友人だ」と言っていた相手を、今日は「最低の人間だ」と非難するなど、人に対する評価や態度が劇的に変わることが、発言の変化として現れます。
これらの病気の可能性を考える際に最も重要なのは、素人判断で「あの人は病気だ」と決めつけないことです。
もし、単なる「言うことが変わる」というレベルを超えて、社会生活に著しい支障をきたしている、本人がひどく苦しんでいる、気分の浮き沈みが極端で周りが対応に窮しているといった状況が見られる場合には、精神科や心療内科といった専門機関への相談を優しく提案することも一つの選択肢です。
その際は、相手を非難するのではなく、心配しているという気持ちを伝えることが大切です。「最近、とても辛そうに見えるから、一度専門家の話を聞いてみない?」といったアプローチが考えられます。
あくまで、性格や心理的な要因が大部分であることを念頭に置きつつ、こうした医学的な視点も知識として持っておくことは、より深い理解と適切な対応に繋がるでしょう。
言うことがコロコロ変わる人の心理を理解し上手く付き合う方法
- 職場や上司との関係でストレスを溜めない
- 恋愛関係で振り回されないための心構え
- すべてを真に受けない上手な付き合い方
- 相手の意見が変わることを前提に話す
- 言うことがコロコロ変わる人の心理を理解し関係を築く
職場や上司との関係でストレスを溜めない
職場、特に上司が言うことがコロコロ変わるタイプだと、仕事の進め方に混乱が生じ、多大なストレスを感じることになります。
指示通りに作業を進めていたのに、提出直前になって「やっぱり、やり方を変えてくれ」と言われれば、それまでの努力が無駄になったように感じ、モチベーションも低下してしまいます。
このような状況で心身を消耗しないためには、いくつかの具体的な対策と心構えが必要です。
指示は記録に残す
最も基本的で効果的な対策は、指示を記録に残すことです。
口頭での指示は「言った」「言わない」の水掛け論になりやすいため、必ず文書化する習慣をつけましょう。
具体的には、以下のような方法が考えられます。
- 打ち合わせの議事録を作成する:決定事項、担当者、期限などを明記し、関係者に共有します。上司の承認を得ておくと、さらに確実です。
- 確認メールを送る:口頭で指示を受けた後、「先ほどご指示いただいた〇〇の件ですが、△△という理解でよろしかったでしょうか」といった確認のメールを送り、証拠として残します。
- チャットツールを活用する:テキストでやり取りが残るチャットツールでの指示をお願いするのも有効です。
これらの記録は、後から指示が変わった際に「以前はこのようなご指示でしたので、変更点を確認させてください」と冷静に事実を提示するための重要な武器となります。
こまめに進捗を報告し、認識をすり合わせる
作業をすべて終えてから報告するのではなく、要所要所で進捗を報告し、上司との認識にズレがないかを確認することも大切です。
「現在、この方針でここまで進んでいますが、問題ないでしょうか?」と中間報告を入れることで、もし上司の考えが変わり始めていたとしても、早い段階で軌道修正ができ、手戻りを最小限に抑えることができます。
これは、自分自身を守るためのリスク管理の一環です。
精神的な距離を保つ
上司の言動に一喜一憂しないことも、ストレスを溜めないためには不可欠です。
「この上司は、言うことが変わるのが通常運転だ」と、ある意味で割り切ってしまうのです。
相手の性格を変えることはできませんが、自分の受け止め方を変えることはできます。
上司の発言を人格への攻撃と捉えるのではなく、単なる「情報」として客観的に処理するよう心がけましょう。
期待しすぎず、振り回されないように自分の心の防衛線をしっかりと引くことが、長期的に見て自分のメンタルヘルスを守ることに繋がります。
仕事は仕事と割り切り、感情的に深入りしすぎない冷静さを保つ訓練も必要かもしれません。
恋愛関係で振り回されないための心構え
恋愛において、パートナーの言うことがコロコロ変わると、深い不安や不信感を抱く原因となります。
「将来は結婚しよう」と言っていたかと思えば、急に「今は考えられない」と言い出したり、デートの約束を平気で変更したり。
このような言動に振り回され続けると、関係そのものが苦痛になってしまいます。
大切なのは、相手に振り回されずに、自分の心の平穏を保つための心構えを持つことです。
相手の言葉の「温度」を見極める
言うことが変わりやすいパートナーの言葉は、すべてを額面通りに受け取らないことが肝心です。
彼らの言葉には、その場の気分や感情が強く反映されている「熱い言葉」と、ある程度考えられた「冷静な言葉」があります。
例えば、デートで盛り上がっている最中の「君と一生一緒にいたい」という言葉は、その瞬間の感情が高ぶった「熱い言葉」かもしれません。
もちろん、その気持ちに嘘はないでしょうが、永続的な約束と捉えるには注意が必要です。
一方で、落ち着いた状況で、具体的な将来設計と共に語られる言葉は「冷静な言葉」である可能性が高いです。
重要な決断に関わるような言葉は、相手がどのような状況・精神状態で話しているかを見極め、その「温度」を判断する癖をつけましょう。
自分の感情の軸をしっかり持つ
パートナーの言動によって、自分の感情がジェットコースターのように揺さぶられるのは、自分の幸せを相手に委ねてしまっている証拠かもしれません。
相手が優しい言葉をかければ天にも昇る気持ちになり、少しでも冷たい態度を取られれば地の底に落ち込む、という状態では、心が持ちません。
大切なのは、パートナーの言動とは別に、自分自身の価値観や楽しさをしっかりと持つことです。
趣味や友人との時間、仕事など、恋愛以外にも夢中になれる世界を持っておくことで、心に安定した「軸」ができます。
そうすれば、たとえパートナーの言うことが変わったとしても、「まあ、そういう時もあるか」と、ある程度冷静に受け流せる心の余裕が生まれるのです。
不安な気持ちは素直に、しかし冷静に伝える
言うことが変わるたびに不安になる気持ちを、ただ我慢する必要はありません。
しかし、感情的に「どうして言うことが変わるの!」と責め立てるのは逆効果です。
相手は防御的になり、話し合いになりません。
そうではなく、「〇〇と言ってくれた時は嬉しかったんだけど、この前△△と言われた時に、少し不安な気持ちになったんだ。あなたの本当の気持ちを聞かせてもらえるかな?」というように、「I(アイ)メッセージ」を使って自分の感情を主語にして伝えてみましょう。
相手を非難するのではなく、自分の気持ちを伝えるという形でコミュニケーションを取ることで、相手も心を開きやすくなります。
恋愛は二人で築くものです。
相手の特性を理解しつつも、自分の心を大切にし、健全な関係を築くための努力が求められます。
すべてを真に受けない上手な付き合い方
言うことがコロコロ変わる人と接する上で、最も重要な心構えの一つが「すべてを真に受けない」ということです。
これは、相手を無視したり、不誠実な態度を取ったりすることとは違います。
相手の言葉を一つの「情報」として受け止めつつも、それに過度な期待を寄せたり、感情的に振り回されたりするのを避けるための、いわば心の護身術です。
このスタンスを身につけることで、人間関係のストレスを大幅に軽減することができます。
「言葉」ではなく「行動」を信じる
言うことが変わりやすい人は、魅力的なことや大きなことを口にする傾向があります。
「新しいプロジェクトを立ち上げる」「海外に移住する」など、聞いている側がワクワクするような話をしてくれるかもしれません。
しかし、その言葉が実現されるかどうかは別の話です。
彼らとの関係で信頼の基準とすべきは、口から出る「言葉」ではなく、実際にとった「行動」です。
「やる」と言ったことを実際にやったか、「行く」と言った場所に実際に来たか。
その積み重ねが、その人の信頼度を測る唯一の指標となります。
言葉に期待して裏切られるというパターンを繰り返すのではなく、行動が伴って初めてその言葉を信じる、というスタンスに切り替えましょう。
期待値をコントロールする
私たちがストレスを感じるのは、現実が自分の期待を下回った時です。
言うことが変わる人に対して、最初から「この人の言うことは絶対だ」と100%の期待をかけてしまうと、発言が変わった時の失望は非常に大きくなります。
そこで、あらかじめ期待値を調整しておくことが有効です。
「この人の言葉は、変わる可能性が半分くらいあるな」「話半分で聞いておこう」というように、心のハードルを下げておくのです。
そうすれば、もし発言が変わったとしても「やっぱりな」と冷静に受け止められますし、もし発言通りに行動してくれたら「今回は約束を守ってくれたんだ」と、むしろプラスに感じることさえできるかもしれません。
これは、相手を見下すのではなく、自分自身の心を守るための現実的なテクニックです。
重要な約束は「固める」作業を意識する
すべての発言を真に受けないと言っても、仕事の納期や大切な約束など、守ってもらわなければ困ることもあります。
そのような重要な事柄については、相手の「分かった」という一言で安心するのではなく、具体的な内容を「固める」作業を意識的に行いましょう。
- 5W1Hで確認する:「いつ(When)」「どこで(Where)」「誰が(Who)」「何を(What)」「なぜ(Why)」「どのように(How)」を明確にします。曖昧な部分をなくし、お互いの認識を一致させます。
- リマインダーを送る:約束の前日などに、「明日の〇〇の件、よろしくお願いします」と軽く念を押しの連絡を入れます。
- 相手のメリットを伝える:その約束を守ることが、相手にとってどのような利益になるかをさりげなく伝えるのも効果的です。
このように、重要な事柄については、相手の気まぐれや忘れっぽさが入り込む隙を与えないように、こちら側から積極的に働きかけることが、トラブルを未然に防ぐ上で非常に有効です。
相手の意見が変わることを前提に話す
言うことがコロコロ変わる人とのコミュニケーションにおいて、発想を転換し、「この人の意見は変わる可能性がある」ということを最初から前提として会話を進めるアプローチは非常に有効です。
これは、相手を諦めるということではなく、変化に対して柔軟に対応できるように、あらかじめ心の準備と戦略を整えておくということです。
この前提に立つことで、会話の進め方や質問の仕方が自然と変わり、無用なストレスを回避しやすくなります。
「現時点での考え」として聞く
相手に意見を求める際に、それを最終決定かのように問い詰めるのではなく、あくまで「現時点での考え」としてヒアリングするスタンスを取ります。
例えば、「この件、最終的にどうしますか?」と聞く代わりに、「今の段階では、どのように進めるのが良いと思いますか?」と尋ねるのです。
この聞き方であれば、相手は「今、思っていること」を比較的気軽に話すことができますし、後から考えが変わったとしても「あの時はそう思ったんだけど、新しい情報が入ってきて…」と説明しやすくなります。
言葉の端々に「変更の余地」を残しておくことで、相手が硬直化するのを防ぎ、こちらも心の準備ができます。
選択肢のメリット・デメリットを一緒に整理する
相手が何かを「こうしたい」と言った際に、すぐに「分かりました」と受け入れるのではなく、その選択肢が持つメリットとデメリットを一緒に整理する時間を持つのも良い方法です。
「その案、いいですね。メリットとしては〇〇が考えられますが、一方で△△というデメリットもありそうですが、その点はいかがでしょうか?」といった具合に、客観的な視点から対話を促します。
このプロセスを経ることで、相手はその場の気分だけでなく、少し深く考えるようになります。
また、後からデメリットに気づいて意見を変えるというパターンを減らす効果も期待できます。
これは、相手の思考をサポートし、より質の高い意思決定に導くための協力的なアプローチと言えるでしょう。
変更された場合の代替案を考えておく
「意見が変わることを前提にする」とは、リスク管理の視点を持つことでもあります。
特に重要な計画においては、相手の意見が変わった場合に備えて、あらかじめプランB(代替案)を自分の中で用意しておくと、精神的なダメージを最小限に抑えられます。
例えば、旅行の計画を立てているのであれば、「もし彼が『行きたくない』と言い出したら、一人で楽しめるプランに切り替えよう」とか、「別の友人を誘ってみよう」と考えておくのです。
すべての決定を相手に依存するのではなく、自分自身でコントロールできる選択肢を持っておくことが、心の安定に繋がります。
この「前提」を持つことは、決してネガティブな考え方ではありません。
むしろ、変化の激しい現代社会を生き抜く上で、誰に対しても応用できる柔軟な思考法とも言えます。
相手の特性を理解し、それに対応できるしなやかなコミュニケーション戦略を身につけることで、私たちはより賢く、ストレスの少ない人間関係を築いていくことができるのです。
言うことがコロコロ変わる人の心理を理解し関係を築く
これまで、言うことがコロコロ変わる人の心理的な背景と、具体的な対処法について様々な角度から見てきました。
自己保身や自信のなさ、悪気のない気質、そして時には病気の可能性まで、その原因は一つではなく、複雑に絡み合っています。
彼らとの関係に悩み、ストレスを感じてきたかもしれませんが、最終的に目指すべきは、相手を非難したり、無理に変えようとしたりすることではなく、その心理を深く理解した上で、自分にとって最適な距離感を見つけ、建設的な関係を築いていくことです。
言うことがコロコロ変わる人の心理を理解するということは、彼らの言動の裏にある「弱さ」や「不安」に気づくことでもあります。
自己保身に走るのは、傷つくのが怖いからです。
自信がなくて意見が揺らぐのは、責任の重圧に押しつぶされそうだからです。
気分屋なのは、自分の感情に素直なだけかもしれません。
この視点を持つことで、彼らに対する見方が「いい加減な人」から「不器用な人」「臆病な人」へと変わり、少しだけ寛容な気持ちになれるかもしれません。
もちろん、理解することと、すべてを受け入れることは同義ではありません。
実害を被るような場合は、記録を取る、重要なことは文書で確認するといった具体的な対策は必要不可欠です。
これは、自分自身を守り、健全な関係を維持するために必要な境界線(バウンダリー)を引く行為です。
相手を理解しようと努めることと、自分の心と時間を守ることは、決して矛盾するものではありません。
そして、最も大切なのは、相手の言動に振り回されて、自分自身の価値を見失わないことです。
相手の評価がどうであれ、あなたの価値は揺らぎません。
恋愛や仕事以外の世界にも自分の居場所と楽しみを持ち、心の安定を保つことが、結果的に相手との関係にも良い影響を与えます。
言うことがコロコロ変わる人との付き合いは、私たちに「期待値のコントロール」「リスク管理」「感情のセルフケア」といった、より高度なコミュニケーションスキルを学ぶ機会を与えてくれていると捉えることもできます。
この記事で紹介した心理の理解と対処法が、あなたの悩みを軽減し、明日からの人間関係を少しでも楽にするための一助となれば幸いです。
- 言うことがコロコロ変わる人の心理には多様な理由がある
- 自己保身から周囲の評価を気にして意見を変えることがある
- 自分の判断に自信がなく他人の意見に流されやすい
- 発言が変わっても本人に悪気はないケースも多い
- その場の気分や感情で発言する気分屋な性格も一因
- 稀にADHDや双極性障害などの病気が関連する場合もある
- 職場では指示を記録しこまめな報連相で自衛する
- 上司の言動とは精神的な距離を保ちストレスを回避する
- 恋愛では相手の言葉の温度感を見極めることが重要
- 自分の感情の軸を持ち相手に振り回されない心構えを持つ
- 言葉よりも実際の行動を信頼の基準にする
- 相手への期待値をあらかじめ調整し失望を防ぐ
- 意見が変わることを前提に会話を進める戦略も有効
- 相手の心理を理解することで寛容な気持ちが生まれる
- 自分を守るための境界線を引くことも大切